人類の起源は30万年前? 化石が発見されたということをガイドさんから教えられました。
自分は高校時代世界史を専攻していました。
知らないうちに、考古学は進んでいるんだなあと感動しました。
あと、考古学とは別ですが、家に帰って人類の起源を調べていくうちに「オリバー君」というチンパンジー?に興味を持ちました。
今回は、これらを紹介したいと思います。
〇人類の起源
現生人類ホモ・サピエンスは、30万年前にアフリカに生息し、現代の人々とそう変わらない顔つきをしていたとする論文が2017年6月7日、発表されました。
人類の起源が定説より10万年早かったことを示す研究結果です。
ホモ・サピエンスは約20万年前にアフリカ東部に現れたというのが20年来の通説でしたが、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された2件の論文によれば、これを覆す画期的な化石がモロッコで見つかりました。
この発見により人類の進化の系統図が書き換えられ、既に絶滅したホモ属の一部が人類の祖先としての候補から除外される可能性もあります。
2件の論文は、古代人類5人の頭蓋骨と骨のかけらや、狩猟や食肉処理に使われていた石器に基づくものです。
いずれも、現在のマラケシュ(Marrakesh)に近いジェベリルー(Jebel Irhoud)にある先史時代の野営地から見つりました。
独マックス・プランク進化人類学研究所の古人類学者、ジャンジャック・ユブラン氏は「この資料は人類の起源を示すもので、アフリカを含むあらゆる場所で見つかった中で最も古いホモ・サピエンスだ」と語っています。
これまで最も古いとされてきた19万5000年前の化石は、エチオピアで見つかっています。この発見は、アフリカ東部が進化上の「エデンの園」、つまり、人類がアフリカ内外へと広まった起源の地であるとの説につながっています。
研究チームは、新たな発見により、いわゆる「人類のゆりかご」がアフリカ全土に広がっていたことが示されると指摘しています。
モロッコで見つかったのと同じ種類の「中石器時代」の石器は、すでにアフリカ各地で見つかっていて、年代もおおむね同じとされているが、これまではホモ属内の別種の人類が作ったと考えられてきました。
ですが今回の発見により、すでにアフリカ中に広まっていた現生人類がこれらの石器を作っていた可能性が高まりました。
〇オリバー君
人とチンパンジーの混血種「オリバー君」
1976年7月15日、
「ヒトとサルの混血種か?」、
「はたまた人類の祖先? 生きた化石か?」と騒がれた、
「オリバー君」と呼ばれる不思議なサルが来日しました。
彼は普通のサルとは違い、顔の色が白く、毛も少なく、耳は上に尖った特徴的な形をしており、ひざを曲げることなく二本足で歩くことができました。またビールやコーヒーが好きで、タバコも吸うことができました。
(ええー!)
これらは明らかに他のサルとは違う特徴を示しています。
しかし、こういった外見的な特徴だけでなく、より科学的な方法でオリバーが検査されたことがあったそうです。
検査では彼の染色体が調べられ、ヒトの46本、チンパンジーの48本の中間である、47本の染色体を持っていることが確認されました。
つまりオリバー君は、正真正銘、ヒトとサルの混血種だったと考えられてました。
〇当時は人とサルの混血種だとも言われたが、はたしてその真相は一体どうなっているのでしょうか。
オリバー君はもともと1975年10月にアフリカのコンゴ川流域で、他の3匹のチンパンジーと共に捕らえられてアメリカへ連れてこられた。そして1976年になると、ニューヨーク市の弁護士であったマイケル・ミラーという人物に8000ドルで買い取られる。
オリバー君が来日することになったのは、1972年に東京でモハメド・アリ戦を開催したり、73年には石原慎太郎氏のネッシー探検隊を企画したことでも知られる康芳夫氏が、「七つの大虚業」の3番目の企画として、当時アメリカで話題になっていたオリバー君に目をつけたのがきっかけです。
幸い、所有者のミラーはモハメド・アリの弁護士と交流があり、康氏は太い人脈を通じてオリバーに接触。日本に呼べばかなりの話題になると確信した彼は、1976年にオリバーを日本に呼ぶことに成功しました。
木曜スペシャルへは、日本テレビの矢追純一氏の協力によって出演しています。以下は当時のテレビ欄に書かれた煽り文句です。
「人間か? 類人猿か? 謎の怪奇人間・オリバー! 世界初公開」、
「ついに日本に来たオリバー」
「果たして人間の祖先か? 雪男? 生きた化石?」
「ミッシングリンクの謎に挑戦!」
実際はどうだったのでしょうか?
結果としてこの番組は24.1%という高視聴率を記録。オリバーは一躍有名になりました。
(現在は私も含めオリバー君の名前を聞いたことがない人が多数だと思います)
突然問題が起きました。
当時、オリバーはアメリカでの検査にて、染色体の数が人間とチンパンジーの中間にあたる47本という結果が出たとされてました。
日本でも検査が実施されましたが、番組内では「染色体の検査は手間がかかるので間に合わなかった」とコメントされ、決定的な真相が明らかにされることはありませんでした。
ところが番組放送の翌23日付の『朝日新聞』によれば、オリバー君の染色体検査の結果は7月19日の午前までに出ており、同日午後に行われた番組収録までには間に合っていたというのです。
この検査では、放射線医学総合研究所の平井百樹研究員(細胞遺伝学)がオリバー君の白血球の培養検査を行い、染色体の数がチンパンジーと同じ48本であることを突き止めています。
なお、このとき行われた検査では全部で30標本が用いられたが、そのうち28標本については明らかに染色体の数が48本であると確認されました。
しかし残りの2標本については47本でした。
これについて平井研究員は「この47本の標本は、おそらく標本を作るときに一部が失われたもので、染色体の異常とはいえない」(『朝日新聞』1976年7月23日付)と解説しています。
またアメリカでの検査で47本という結果が出たことについても、「10番目の染色体が欠けていた」というデータを踏まえたうえで、人間とチンパンジーの混血種の場合は12番目、13番目、14番目の染色体のうちどれか一つが欠ける可能性が高く、アメリカでの検査では標本作りにミスがあった可能性を指摘しています。
(つまり、チンパンジーだった可能性が高かったということですね)
その他の検査結果
この他にも当時、日本で染色体検査と一緒に行われた検査や、その後の90年代と2006年に行われた検査があります。
まずは1976年の7月19日までに判明していた検査結果についてです。
京都大学霊長類研究所(当時)の岩本光雄氏が行ったオリバーの血清タンパクの検査では、血清タンパクのひとつであるトランスフェリンのパターンを調べたところ、チンパンジーと全く同じパターンを示しました。
またレントゲンの検査でも、オリバーはチンパンジーと同じ4本の腰椎があり(人間は5本)、骨盤も首のつき方もチンパンジーと同じ特徴を示しました。
なお静岡大学(当時)の平沢弥一郎教授によれば、検査が終わった後にオリバーは、ごく自然に手の甲を地面につけて4本足で歩いたといいます。どうやら2本足で歩けたのは訓練の結果らしいです。
続いては1996年と1998年、それに2006年に行われた検査についてです。
まず1996年に行われた検査ではシカゴ大学の遺伝学者デヴィッド・レッドベター博士がオリバー君の染色体を調査。チンパンジーと同じ48本であることを確認しています。
続く1998年には、テキサス衛生科学センター大学のシャーリーン・ムーア博士と、トリニティ大学のジョン・イーリィ博士によってミトコンドリアDNAの鑑定が行われました。
その結果、母親は中央アフリカのチンパンジーであることが判明しました。
そして2006年です。
アリゾナ州立大学の遺伝学者アン・ストーンによって最新のY染色体検査が行われ、父親も中央アフリカのチンパンジーであることが明らかになりました。
やはりオリバーはチンパンジーだったのです。
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