亜硝酸態窒素
○亜硝酸態窒素について
亜硝酸態窒素(基準値「0.04mg/L以下」)が平成26年4月から水質基準項目に追加されました。
「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」は、平成26年4月以前から水質基準項目でした。今回の改正により亜硝酸態窒素が単独項目として水質基準が設定されました。
○亜硝酸態窒素とは
その名のとおり、水中で亜硝酸イオン(NO2-)の形態で存在している窒素(N)のことをいいます。また、硝酸態窒素は硝酸イオン(NO3-)の形態で存在している窒素のことをいいます。自然界では、ほとんどの亜硝酸イオン、硝酸イオンは他の物質と結びつき亜硝酸塩(えん)、硝酸態塩として存在しています。
・硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の基準値:10mg/L以下
・亜硝酸態窒素(H26.4から) の基準値:0.04mg/L以下
○なぜ基準値に設定されたのか
亜硝酸態窒素は、近年の知見からきわめて低い濃度でもヒトに影響があることがわかり、健康被害がでないように単独で基準値が設定されました。亜硝酸態窒素は、血液中のヘモグロビンを酸化しメトヘモグロビンに変化させます。メトヘモグロビンは、ヘモグロビンを構成しているヘム中の二価の鉄イオン(Fe2+)が三価の鉄イオン(Fe3+)になったものであり、酸素と結合することができません。そのため、血液中のメトヘモグロビンが一定割合以上(メトヘモグロビン血症)になると、十分な酸素を全身へ運べなくなり、酸欠状態に陥ってしまいます。また、重度の場合は死亡することもあります。特に、乳児は以下の理由によりメトヘモグロビン血症になりやすいといわれています。
・体重あたりの水分摂取量が成人の約3倍と多い
・乳児は、胃液のpH値が5~7と高く硝酸還元細菌が繁殖しやすい(参考:成人のpH値は通常2~3)など
○どこから来るのか
亜硝酸態窒素及び硝酸態窒素は、土壌、水、植物中などのあらゆる場所に存在しています。また、窒素肥料や腐敗した動植物、家庭排水、下水等に由来します。これらに含まれる窒素化合物は、土壌へ浸透したり河川に流入した際に科学的・微生物学的に酸化・還元を受け、アンモニア態窒素、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素等になることが知られています。このように生成された硝酸態窒素等は、植物に吸収されたり、ガス化して大気中に放出されたりしますが、吸収されなかったものの一部は地下へと浸透し、地下水などを汚染することがあります。
○検査法について
イオンクロマトグラフ(陰イオン)による一斉分析法で試験を行うこととなっています。
★貯水槽水道の概要
○貯水槽水道とは
中高層の建物に対して、配水管から送られてきた水道水を受水槽でいったん貯めてから、高置水槽などを経由して各戸へお届けする設備を総称して「貯水槽水道」といいます。
○貯水槽水道の区分
貯水槽水道は、2種類あります。
・簡易専用水道
受水槽の有効容量が10立方メートルを超えるもの
・小規模貯水槽水道
受水槽の有効容量が10立方メートル以下のもの
○管理の基本的な考え方
管理は、設置者(所有者、管理を委託されている方)が、責任をもって行ってください。
貯水槽水道は、構造的に水槽内でいったん水が開放されますので、常に空気と触れることになります。
また、サビやタンクの亀裂など設備の不良部分から、有害物質や汚水または小動物などが侵入することによって水質が劣化し、利用者の健康被害が発生するおそれがあります。
そのため、法令により設置者などが貯水槽水道の適正な管理を行うことが定められています。
・簡易専用水道
水道法第34条の2で、管理基準の遵守及び登録機関による検査の受検を定めています。
・小規模貯水槽水道
札幌市水道事業給水条例第22条の3第2項で、簡易専用水道に準じた適正な管理に努めることと定めています。
○定期水質検査項目
貯水槽清掃後の検査項目は、自治体によって異なるため保健所に問い合わせることが必要になります。
【硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素】とは別に、【亜硝酸態窒素】の検査及び基準値の順守が平成26年度から増えています。この点を十分確認し実施してください。
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