}); 水質基準とペット、ハムスターの飼育に注意、四塩化炭素の場合|すごく真面目なブログ

2018年4月25日水曜日

水質基準とペット、ハムスターの飼育に注意、四塩化炭素の場合

四塩化炭素


四塩化炭素の水質基準値:0.002mg/L

毒性評価
四塩化炭素はIARCによりGroup 2B(ヒトへの発がん性の可能性がある)に分類される。四塩化炭素の発がん性について研究動物での十分な証拠はあるが、ヒトでは不十分である(IARC, 1999)とされている。四塩化炭素はマウスとラットの肝細胞がんを引き起こすが、肝臓の腫瘍を誘発する用量は細胞毒性を誘発する用量より多い。この肝臓の腫瘍は非遺伝毒性メカニズムによって引き起こされると考えられ(WHO 1999)、TDI法によっての評価値を設定し得るとみなされた。
TDI算定の根拠となる研究は、前回Bruckner ら(1986) の研究を使用したが、現在までこの研究以外にTDI算定に使用することが適当である研究は報告されていない。従って、今回もBruckner ら(1986) の研究を使用することが適当であると判断した。
Bruckner ら(1986) の研究によると、ラットに1, 10, 33 mg/kg/dayで週5日、12週間経口投与した結果、肝毒性影響(血清酵素増加と組織病理学的)が、10 mg/kg以上の用量で観察された。1 mg/ kg/dayの用量では有害影響は観察されず、NOAELは1 mg/kg/dayと考えられる(Bruckner et al., 1986)。


水質基準の算出方法


評価値の算出
評価値の算定に当たっては、WHO 等が飲料水の水質基準設定に当たって広く採用している方法を基本とし、食物、空気等他の暴露源からの寄与を考慮しつつ、生涯にわたる連続的な摂取をしても人の健康に影響が生じない水準を基として設定している。
具体的には、閾値があると考えられる物質については、基本的には
・1 日に飲用する水の量を2L
・人の平均体重を50kg(WHO では60kg)
・水道水由来の暴露割合として、TDI の10%(消毒副生成物は20%)を割り
当てとする条件の下で、対象物質の1 日暴露量がTDI を超えないように評価値を算出している。

それでは、実際に四塩化炭素の算出を説明します。

評価値
週5日投与試験で得られたNOAEL:1 mg/kgを週7日投与に換算した0.71mg/kg/dayに、不確実因子1000(種間差と個体差:100、短期間試験による因子:10)を適用して、TDI:0.71 μg/kg/dayが得られた。なお、EHC (WHO 1999)ではさらに、大量単回暴露による不確実性因子:0.5を適用している。これはBruckner ら(1986) の研究で同時に行われている急性試験研究のことを指しているものと思われるが、NOAELは亜急性の大量投与を行わない実験から得られているので、採用するのは適当でないと考えられた。
評価値はTDIへの飲料水の寄与率を10%とし、体重50kgの人が1日2L飲むと仮定することにより、0.002mg/L(≒1.78 μg/L)と算定される。

まず、TDIについては簡単に説明すると、
Tolerable Daily Intake(耐容一日摂取量):ヒトが摂取しても健康に影響がない、汚染物質の一日あたりの摂取量。


四塩化炭素の水質基準値の算出式=0.71×50/2×0.11.78μg/L=0.00178mg/L0.002mg/L

ここで、
  1. 0.71は四塩化炭素のTDI
  2. 50は50kgの人の体重(日本の水質基準は体重50kgをもとに算出される)
  3. 2は1日に飲用する水の量:2L(日本の水質基準は2Lをもとに算出される)
  4. 0.1はTDIに対する飲料水の寄与率:10%=0.1

(参考)
単位μg(マイクログラム)はmgの1000分の1、mgはgの1000分の1
つまり、1000μg=1mg、1μg=0.001mg


以上で、四塩化炭素の水質基準値が0.002mg/Lと求まりました。


新たな見解


ここで、新たな見解として、人以外の動物にこの0.002mg/Lが妥当なのか検証してみました。なぜかというと、ペットも家族の一員であると私は考えているからです。


1 ジャンガリアンハムスターの場合

①体重40gの場合=0.04kg
※オスの適正体重は35gから45gで、メスは30gから40gです。
②1日に飲用する水の量:10mL=0.01L

四塩化炭素の水質基準値の算出式=0.71×0.04/0.01×0.1=0.284μg/L=0.000284mg/L

なんと、ジャンガリアンハムスターの場合では、0.000284mg/L以上では毒性の恐れがあるのです。

例えば、四塩化炭素の値が0.001mg/Lの場合には、水質基準を満たしていても、それは人に対して満たしているのであって、ジャンガリアンハムスターの場合では、0.000284mg/L以上なので毒性の恐れがあるのです。


2 トイプードルの場合

①体重:3kgの場合
②1日に飲用する水の量:およそ300mL=0.3L
四塩化炭素の水質基準値の算出式=0.71×3/0.3×0.1=0.71μg/L=0.00071mg/L

なんと、トイプードルの場合では、0.00071mg/L以上では毒性の恐れがあるのです。

3 アメリカンショートヘアの場合

①体重:4kgの場合
②1日に飲用する水の量:およそ214mL=0.214L
四塩化炭素の水質基準値の算出式=0.71×4/0.214×0.1=1.32μg/L=0.00132mg/L

なんと、アメリカンショートヘアの場合では、0.00132mg/L以上では毒性の恐れがあるのです。


【中間まとめ】

四塩化炭素の水質基準値=0.002mg/L
・ジャンガリアンハムスターの場合:0.000284mg/L
・トイプードルの場合:0.00071mg/L
・アメリカンショートヘアの場合:0.00132mg/Lとなり、人では問題ない基準でもペットは危険な値になることがわかりました。
特に、ジャンガリアンハムスターでは、0.000284mg/Lなので水質基準の0.002mg/Lのおよそ7倍も低い四塩化炭素の濃度でないと、毒性の恐れがあるのです。


【対策】

以上のように人よりも体の小さなペットでは、水質基準以内であっても危険な場合があります。水質基準が人を基準に策定されたという背景がその原因です。しかし、ペットも家族の一員です。
それでは、ペットを守るためにどのようにすれば良いでしょうか?



対策方法

トリハロメタンのように沸とうさせると減少できるという報告はまだありません。活性炭を通すことにより除去可能ですが、どの程度まで除去できるのかメーカーによっても違いますので安心できません。
そこで、市販のミネラルウォーターを飲ませてあげることが一番安全な方法です。
ただし、ミネラルウォーターも硬度の低いもの(軟水)を飲ませてあげることが重要です。この点を注意してください。

(参考)一般的には、硬度0~100mg/Lを軟水、101~300mg/Lを中硬水、301mgL以上を硬水に分けられます。


外国の水は硬水が多いですので、絶対にあげないで下さい。
エビアン:304mg/L
コントレックス:1468mg/L
ペリエ:400 mg/L

外国の水はウランが含まれていることからも危険です。
日本に輸入されている銘柄を見てみると、エビアンもコントレックスも基準値以下だが、ペリエは 4.8 μg/L で危険なウラン濃度を示しています。


【ペットには軟水がいい理由とは?】
その理由の一つが、「尿路結石症」の予防である。尿路結石症とは、腎臓や膀胱、尿管、尿道など、尿を作って排出する器官のなかで特定の物質が結晶化してしまう病気のこと。結晶化した物質、つまり「結石」は尿管を刺激し、排尿時に痛みを感じたり、血尿が出てきたりなどの症状が出る。さらに、結石が大きくなると尿管を塞いでしまい、膀胱に尿がたまり急性腎不全を引き起こすこともあるのだ。人間の場合は、男性に多く、日本人男性の11人に1人程度が尿路結石症を患うといわれているが、実は犬や猫もかかりやすいのだ。

 尿路結石症の大きな特徴がその激痛だ。人間の場合でも同様で「痛みの王様」と呼ばれることもあるほどの痛みを伴うという。しかも、慢性的に結石症となるケースも多く、かなりつらい病気だといえそう。人間であれば、痛みを訴えることもできるが、ペットの場合はそうもいかない。飼い主が気づかないうちに重症化していたというケースも多いようだ。

 尿路結石症の原因の一つとされているのが、ミネラルの過剰摂取だ。つまり、ペット専用飲料水の多くがミネラル含有量の少ない軟水や純水であるというのは、尿路結石症を予防するためでもある。


まとめ

化学物質の水質基準は人を基準に定められたものなので、ペットなど体の小さな動物に対しては十分でない場合があります。
そのためには、化学物質を十分に除去してペットに与える工夫が必要です。


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